其扇流の「銘」一覧

 「源氏物語」には54の巻名があり、「投扇興」では、それぞれの巻名に対する見立てによって54の「銘」が定められています。
 が、現在の其扇流では比較的でやすいものを中心に限定しています。将来的には古文書をもとに段階的に種類を増やしていき、最終的には巻数と同じ54種にする意向のようです。平成12(2000)年の5月から、「古体投扇興」復元の第三段階として、銘が26種から40種に増えました。
 (表中において、「◎」が新しく追加された銘、「△」は他の銘が分離するなどで趣が変わった銘を示します)

 ここでは、その一覧を示します。趣(形態)については簡潔さを重視し、詳細な説明は省略しています。文字だけではわかりにくいので、デジカメ新調したら画像も入れてみようかな(^^;)。
 

其扇流・銘定一覧表

「銘」(技名)
帖数
読み
「趣」(形態)
得点
野分
28
のわき   箱を倒してしまう
(このとき蝶が立つと過料なし)
過料二十
(無)
手習
53
てならい   扇が蝶に当たらない
(箱に扇の要を当ててしまうと過料)

(過料一)
花散里
11
はなちるさと   扇・蝶が地に倒れる
関屋
16
せきや 扇が蝶に当たったあと箱に立てかかる
(両褄上がりだと二点増)

(三)
藤袴
30
ふじばかま 扇が蝶に当たったあとで地紙を下にして箱に立てかかる
梅枝
32
うめがえ 扇をはさむ形で箱・蝶があり、蝶が倒れる
末摘花
6
すえつむはな 扇・蝶が箱をはさむ形で倒れる
紅葉賀
7
もみじのが 蝶が扇の親骨の部分に少しかかった状態で倒れる
絵合
17
えあわせ 蝶が扇の紙の部分に少しかかった状態で倒れる
行幸
29
みゆき 扇が箱に要を地につけて立てかかり、蝶が倒れる
夕顔
4
ゆうがお 蝶が扇の紙の部分の上で倒れる
松風
18
まつかぜ   蝶が箱の上で倒れる
夕霧
39
ゆうぎり 蝶が扇の紙の部分の下に隠れる形で倒れる
総角
47
あげまき 扇が要が浮いた状態で箱に立てかかり、蝶が倒れる
須磨
12
すま   蝶との間に箱をはさむ形で扇が枕に立てかかる
花宴
8
はなのえん   蝶が箱にぶら下がる
朝顔
20
あさがお 蝶が扇の骨の部分の上で倒れる
鈴虫
38
すずむし 蝶が扇の骨の部分の下で倒れる
(骨間より蝶立てば十点増)

(十七)
賢木
10
さかき 倒れた蝶の上に箱に立てかかった扇が乗る
薄雲
19
うすぐも 箱に立てかかった扇の下に隠れるように蝶が倒れる
若菜(下)
35
わかな(げ)   蝶が箱の上で倒れ、扇が箱に立てかかる
柏木
36
かしわぎ 蝶が扇の要(骨をつなぐ鋲の部分)にかかって倒れる
宿木
49
やどりぎ 箱に立てかかった扇に蝶が乗る
早蕨
48
さわらび 蝶が地で立つ
澪標
14
みおつくし   箱の上に扇が乗る 十一
匂宮
42
におうみや 扇をはさむ形で箱・蝶が立つ 十一
若紫
5
わかむらさき   扇が箱に立てかかり、蝶が地で立つ 十三
東屋
50
あずまや   蝶が扇との間に箱をはさむ形で立つ 十三
帚木
2
ははきぎ   蝶が箱の上で倒れ、その上に扇が乗る 十五
明石
13
あかし 立った蝶との間に箱をはさむ形で扇が枕に立てかかる 十五
空蝉
3
うつせみ 蝶が箱にぶら下がり、扇が立てかかる
(蝶にかかって扇が浮いていれば十五点増)
十八
(三十三)
桐壷
1
きりつぼ   箱の上に扇が乗り、蝶が地で立つ 二十
少女
21
おとめ 箱の上に扇が乗り、蝶が箱にぶら下がる
(蝶が要にかかれば十点増)
三十
(四十)
真木柱
31
まきばしら 箱に立てかかった扇の要に蝶がぶら下がる
(蝶の鈴の部分が扇の要にからんで下がると二十点増)
三十
(五十)
浮舟
51
うきふね 地に倒れた扇の上で蝶が立つ
(この形が投者から見て箱の手前でできると十点増)
三十
(四十)
蓬生
15
よもぎう   地で立つ蝶の上に扇が乗る
(扇の地紙が地に触れず両褄上がりになると十五点増し)
三十五
(五十)
横笛
37
よこぶえ 扇の骨の上で蝶が立つ 三十五
御法
40
みのり 箱に立てかかった扇の地紙に蝶が下がる 三十五
篝火
27
かがりび   扇が箱に乗り、その要に蝶がぶら下がる 五十
夢浮橋
54
ゆめのうきはし   蝶が立ち、その蝶と箱に扇が橋のような形で乗る 五十

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