写真上:盛岡駅前に入ってきた夜行バス。この後東北自動車道などを経由して東京へと向かう(国際興業)。
「夜行バス」とは、「夜に出発し、翌朝目的地に到着する」長距離バスのことを言います。そのほとんどが数百キロ離れた2つの地域間を結んでいます。
たいていの場合途中経路のほとんどが高速道路を走りますので「夜間高速バス」「夜行高速バス」などと呼ばれることもあります。
長距離を運転する「夜行バス」には2名の乗務員が途中のサービスエリアで交替しながら運転していくことになっています(短距離の場合は途中で乗務員が交替したり、1名の乗務員が途中で長い休憩をとって運転することもあります)。
最も長いところでは福岡から東京までの1,100km以上の道のりを約14時間かけて走行していくものもあります。
利用する側にとってみれば、夜寝ている間に移動を行い、朝には現地に到着している…という感じです。さまざまな工夫がなされたシートは快適でおまけに運賃は他の交通手段に比べるとはるかに安いので、かなりお得な交通手段だといえるでしょう。
長距離を運転する「夜行バス」には2名の乗務員が途中のサービスエリアで交替しながら運転していくことになっています(短距離の場合は途中で乗務員が交替したり、1名の乗務員が途中で長い休憩をとって運転することもあります)。
最も長いところでは福岡から東京までの1,100km以上の道のりを約14時間かけて走行していくものもあります。
ちなみに「深夜バス」とは、大都市から深夜帯に出発して都市近郊まで運行する、 いわば「終電乗り遅れ救済」のバスのことです。「夜行バス」とは意味合いが異なります。もっとも当のバス会社ですらけっこう混同していることもあるので、そこまで目くじらたてることでもないような気がしますけど…(^^;)。
「夜行バス」が他の交通手段に対してすぐれているところはたくさんあります。
主なところで「運賃が安い」「快適に乗車できる」「家の近くから乗れる(確率が高い)・都心まで直行できる」「時間を効率的に使える」といったことがあげられます。
右図:標準的な夜行バスと観光バスの座席レイアウトの例。車種により若干レイアウトは異なる。
「夜行バス」自体の歴史は案外古く、1960年代から国鉄などが列車の補完として走らせていました。
当時は高速道路網も現在ほど充実していないし、また車両もごく普通の昼間に走る観光バスと同じようなものでした。
そんな夜行バスに、一大転機が訪れたのは1980年代の後半。
福岡県の西日本鉄道が大阪府の阪急バスと組んで1983年に開業、そして1986年に新型車両を導入した福岡と大阪を結ぶ「ムーンライト」号がその先駆けとなりました。
従来タイプの2人掛けシートではなく、一人一人各席が独立している大きく背もたれがリクライニングするゆったりとしたシート、トイレはもちろん自動車電話も装備するなど当時の常識では考えられないような豪華さを誇る新型車両を導入したのです。
そのような豪華装備にもかかわらず運賃が飛行機や新幹線などに比べはるかに安い…ということもあってアッという間に大人気となりました。
同じ年には東日本でも東京と弘前(青森県)を結ぶ「ノクターン」号が開業し、これも大人気となりました。
その後、「ノクターン」の成功に気をよくした京急は鳥取県の日ノ丸自動車・日本交通と組んで「キャメル」を開業しこれもヒット。同年夏には近鉄が熊本県の九州産交と大阪と熊本を結ぶ「サンライズ」号が開業したのを皮切りに大阪を起点とした路線網も広がり始め、夜行バスの路線網は多くの会社が参入して全国に夜行バスネットワークが形成されました。
写真:夜行バスで一部を除いて採用されている独立3列シート。隣の人をあまり気にしなくてもよく、ゆったり感がある。(九州産交)
その後、不景気などの影響もあって一部の夜行バス路線が廃止されたり、一部のバス会社が撤退したりする一方で新規開業や新規参入もあり、 現在夜行バスを走らせているバス会社は日本全国で100社以上、その路線数は全国で約140以上にものぼっています。
写真:2001年2月に群馬の日本中央バスが本格的に夜行バスに参入した。
同社はその後続々と大阪や名古屋など新路線開拓を続けている。