いよいよ当日!夜行バスの乗車まで…

ここでは、夜行バス乗車当日の流れや注意すべき点などをご紹介します。

バス乗車時に用意するといいもの

 もちろん「乗車券」は必須なのは言うまでもありませんね(^^;)。
 基本的には「乗車券」さえあれば乗車はできるのですが、それ以外にも場合によっては持っていくといいものもあります。
 車内は夜間ということもあり、室内灯や読書灯はありますがあまり明るくないので、長時間の読書はあまりできません。
 かつての夜行バスではほとんど音楽サービスがありましたが、最近音楽サービスない車両も多いので音楽を聴きたい人は「ポータブルステレオ(カセット・CD・MDなど)」を持ち込みましょう。
 その他、夜間「光が気になって眠れない」「音が気になって眠れない」と思う人は、 「アイマスク」「耳栓」を用意して乗ることをおすすめします。
 枕がないと眠れないという人は「枕」(空気でふくらませるタイプが便利)もあるといいでしょう。ただし会社によってはシートに枕が備え付けているところもあります。
 背広で乗る場合は「折りたたみハンガー」があると便利です。
 洋服掛け用のフックはたいていのバスについています。 また、名古屋観光日急(日本急行バス)のように車内にハンガーを備え付けている会社もあります。
 これらのグッズはトラベルグッズの販売店などで扱っていると思います。

「はかた」号の「軽食」 また、バスの車内では飲み物はたいていありますが、もちろん食べ物はありません (福岡-新宿の「はかた」号だけは「軽食サービス」ということでイタリア風の菓子パンが出る)。

写真右:肘掛け収納テーブルに乗せられた、「はかた」号でサービスされるパンと冷たいお茶(中身は一部変わる可能性あり)。 かつてはツナサラダ缶にマドレーヌやクラッカーが出た時代もあった(西鉄)。

 後述の「途中休憩」がある場合は、サービスエリアなどで食べ物や飲み物の調達も可能(深夜帯でも売店は開いています。なお、アルコール飲料は基本的に売っていません)ですが、 途中休憩がない場合もありますので、お腹が空きそうな場合は事前に食べ物を買い込んでおきましょう。
 バス車内に持ち込む食べ物は、車内がけっこう揺れるので手づかみでも食べられるものがおすすめです。
 狭い空間ですので臭いのきついものは遠慮すべきでしょう。また汁物も気をつけましょう(揺れでこぼしやすい)。 バス車内でカップラーメンを食べていた人が以前いましたが、これもあまりおすすめできません。
 なお、夜行バスは長時間運転ということでかつては喫煙を容認する会社が多数でしたが、最近ではほとんどが「全車禁煙車」になっています。

「のりば」は確実に確認しましょう

 夜行バスの乗り場はたいていの場合「バスターミナル(バスセンター)」または鉄道の駅前からになりますが、 途中から乗降する場合は路上のバス停から…という場合もあります。
 また「バスターミナル(バスセンター)」といっても都市によって規模はさまざまで、あらゆる設備をそなえた大規模なものから、 それこそ「バスの発着所しかない」ような小規模なものまでさまざまです。

熊本交通センター 池袋サンシャインプリンスホテル Width=
写真左:発券所やトイレ・待合室はもちろん喫茶・売店・コインロッカーなどあらゆる設備を備えた熊本交通センター。 夜行便利用者にはあまり縁がないと思われるが百貨店(岩田屋)に隣接している。また上層階はホテルになっている。
写真右:西武バスの路線の多くで始発となる池袋サンシャインプリンスホテル前ののりば。バス停であることを示すポール1本のみ。ホテルの入口前にあるので、待合にはホテルのロビーが利用できる。

 またバスターミナル(センター)の立地も駅に隣接(または併設)されているもの、駅から少し離れているもの(東京・品川の京急バスセンターなど)、 まったく独立して存在しているものなどさまざまです。
 大津(滋賀)や長崎など、路線によって発着するターミナルが異なる場合もありますので、 パンフレットや乗車券などを確認し、間違いのないようにしましょう。
 また表示では同じ場所のように思えても、特に大都市の場合乗り場が分散して存在する場合があります。 特に注意を要するのは新宿(東京)・京都・神戸・大阪(梅田)などです。
 このような場所ではバス会社や路線によって乗り場が異なる(しかもそれぞれがけっこう離れている)ので間違うと致命的です。 くれぐれも気をつけましょう。

京都駅のバス乗り場  たとえば右の写真は「京都駅」のバス乗り場(の周辺地図)なのですが、JRバスの横浜行き・東京行きなどは烏丸(からすま)口側の(1)から発着します。
 しかし、京阪バス関係の路線が発着するのは(2)のホテル京阪前、 近鉄バス・京都交通などが運行する路線は(3)の近鉄改札口前… という具合になっていて乗り場が分散しているのです。
 しかも日本中央バスの群馬行「シルクライナー」は新都ホテル前(4)、大阪から来る、新潟行きや長野行きの阪急バスの路線は新阪急ホテル前(5) が発着所になっています。
 さらにややこしいことに多くの時刻表の表記では(2)(3)(4)がすべて「京都駅八条口」となっていたりするのです(!!)
 同じ「京都駅八条口バスのりば」といっても(2)から(4)までは距離にして約300メートル程度ありますので、歩くと5分はかかります。 また、(2)〜(4)と(1),(5)を相互に行き来しようとすると、駅構内を横切ることになるので上り下りもあってけっこう大変で時間もかかります。
 京都に限らず、大都市のターミナルは単純に「○○駅」といっても、このような実態であることが多いので注意しましょう。
追記
 このようなケースは珍しいのですが、共同運行や発券等業務のパートナーの変更によって乗車場所が変更になることがあります。
 たとえば、熊本線は2002年6月から京阪バス→近鉄バスにパートナー変更になったため、表記が同じ「京都駅八条口」であっても乗車場所がホテル京阪前の(2)から近鉄改札口前の(3)になっています。
 しかも、かつての乗車場所であったホテル京阪前には熊本線ののりばの案内がない…という非常に困った事態になっています(--;)。

発車時刻を案内する電光掲示板  また、熊本交通センターや福岡の西鉄天神バスセンター・大阪なんばのOCATビルなどのようにバスターミナルとして施設が整っている場所では、 発車時刻を案内する電光掲示板を備えていたり、発着の直前に構内放送で案内を行ってくれたりします。
 しかし、そういった施設がなくて、発車案内などないところの方が多いです。ましてや路上のバス停みたいなところもけっこうあります。 くれぐれも自分が乗るべきバスをやり過ごさないように気をつけましょう。
 他の交通機関もそうですが、遅れてしまっても待ってもらえるわけではありません。 絶対に発車時刻に遅れることのないように余裕を持って行きましょう。

写真:発車時刻と「のりば」を案内する電光掲示板。これを備えるターミナルは限られている。(熊本交通センター)

「遅れそう〜」そんな場合は

 とにかく一刻も早くバス会社に連絡をとりましょう。数分程度の遅れであれば(もしかすると)待ってもらえるかもしれません。 もちろん待ってくれるという保証はありませんので。「待ってもらえればラッキー」という感じで考えておくべきでしょう。
 数分程度で遅れが済みそうもない場合は残念ながら「キャンセル」ということになりますが、 連絡なしで乗車しない(不乗)ということになると乗車券の払い戻しができなくなるからです。

 また、鉄道網が発達している大都市において複数の停留所を経由して出発する路線の場合は、 自ら(電車などを利用して)先回りをする…という手が使える場合があります。
 たとえば、近鉄バス(共同運行:九州産交)の京都・大阪発熊本行きの場合、 20:35に京都駅八条口(近鉄改札口前)を出発した後、名神道のバス停や大阪あべのを経由した後で22:10になんば(OCAT)で客を乗せていきます。
 このような場合、20:35に京都駅に「間に合いそうもない」と思ったら、 電車や地下鉄などを利用してすぐになんば(OCAT)へ向かい、なんば(OCAT)で22:10発熊本行きバスが入ってくるを待つ…というわけです。つまり先回りすることができるわけです。
 実際に乗り遅れた時に係員に指示を仰いでも、おそらく「大阪への先回り」を指示されるはずです。基本的に予約・発券が完了した席は最後の停留所を出る直前までキャンセルはされないはずなので、 あべので乗りそこなったとしてもなんば(OCAT)で乗ったときには自分の席はちゃんと空いているはずです。
 このような場合でも、(もし可能であれば)バス会社に連絡をする方が望ましいです。

 なお、キャンセルを行った場合はターミナルの窓口などで「不乗証明」を行ってもらいます(乗車券に「不乗」を意味するスタンプや担当者・社の印をおされることが多い)。
 その「不乗証明」が行われた乗車券を発券窓口に持っていくと払い戻しの手続きが取られるようになっています。連絡なしでキャンセルを行うとこの「不乗証明」が受けられないわけです。

いよいよ乗車!

行き先表示  バスのりばには数多くのバスが発着します。
 くれぐれも自分の乗るバスを間違えないように注意しましょう。
 かつての高速バスでは、路線(行き先)によって異なるカラーリングを用いていたことが多かったのですが、最近は車両の効率的運用のために(行き先によって塗色を変えることはせず)会社ごとに統一された塗色を用いることがほとんどです。
 また、「夜行バス」の多くは「共同運行」で複数の会社が毎日交替で運行を担当しています。ですので予約をしたバス会社や乗車券に記載されている会社の車両とは限りません。
 乗車の際には方向幕やサインボードなどを用いて表示される「行き先表示」を確認しましょう。 行き先表示はたいてい前部方向幕(夜行バスの場合ヘッドライトの間にあることが多い)や 側部方向幕(入口付近にある行き先表示。LED式や「サボ」と呼ばれるサインボードを用いることもある)にあるのできちんと確認しましょう。

写真左:ヘッドライトの間にあるのが「方向幕」による行き先表示。それ以外に側面にもあることが多い。乗るときには必ず確認して誤乗(誤って違う便に乗ってしまうこと)がないように注意!!

 また、長崎-大阪・鹿児島-大阪や岡山-東京などのように同じ場所から同一方面へ複数の異なる系統のバスが出る「ダブルトラック」路線 では、乗る会社を間違えないように気をつけましょう (最も、乗車の際に乗車券を確認されますので、それほど心配はいりませんが)。
 特に鹿児島県の天文館などのように10分程度の間隔で同じ方面行きのバスが同一の乗り場から次々に出ていったりすることもありますので要注意。
 また、多客期(乗客の多い時期)は2号車・3号車…といった具合に同じ路線でたくさんのバスがやってきたりします(「続行便」といいます)。
 乗車券にはきちんと「号車」と「席番」が記載されていますので、よく確認して間違えることがないようにしましょう。
 たとえば乗車券に「ドリーム大阪3号1号車」などのように記載されている場合は、「ドリーム大阪3号」(2002年11月現在のダイヤでは22:20発の東京発大阪行き)の「1号車」(1台目の車)という意味になります。

 夜行バスの場合、乗車する際に乗務員に乗車券を渡す「前払い方式」が一般的です。
 ただし、ごくまれに乗車時には座席の確認だけを行い、出発直後(または降車時)に車内で乗車券を回収する場合もあります。 また、JRバスでは鉄道と同様に乗車時には改札を行い(入鋏スタンプを押してもらう)、降車時に集札(回収)する路線もあります。
 いずれの場合も、乗務員に乗る号車と座席を確認してもらいますのでよく覚えておきましょう。 車内や降車時に集札する一部路線を除くと乗車券は乗車する時点で回収されます。自分が乗る号車と席番号は忘れないように!(万一忘れた場合は乗務員に尋ねましょう)。
 「座席番号」は座席(ヘッドレストカバーや肘掛け部分など)や、網棚の下などにつけてあります。 通常は「3A」などのように数字とアルファベットの組み合わせになっていますが、会社によっては数字だけの場合もあります。
手荷物の荷札  荷物はある程度の大きさまでならば車内に持ち込むことができますが、大きな荷物の場合はトランクに預けてもらえます。 トランクに預けた荷物には「荷札」がつけられます。この荷札は半券方式になっていて、荷物につけられるとともに半券を「引換証」として渡されます。 この半券は降車時に荷物を引き取る際に必要になりますので紛失しないようにしましょう。
 なお、比較的短距離で乗務員1名のJRバス路線については、荷物を自分でトランクに入れる方式をとっています。
 携帯電話については、着信音が出ないようにマナーモードに設定しておきましょう。また、車内においての利用は最小限にしましょう。

荷物はトランクへ さまざまな荷物札
写真左:乗車直前の改札。大きな荷物などは乗車前にトランクに預けることができる。
写真右:荷札のデザインは各社さまざま。何度も乗る人は乗車記念に取っておくといいかも(たまに荷札ごと回収される場合もある)。


「あなたも乗ろう!夜行バス」Index
  1. 「夜行バス」の基礎知識
  2. 乗車便の決定と乗車券の予約・購入
  3. いよいよ当日!夜行バスの乗車まで…
  4. 夜行バスの車内について
  5. 消灯・そして到着

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